『人相術辞典 天道観相塾より』 【ひ】
〔眉角〕 (びかく)。 眉尻の上角。
〔鼻竅露仰〕 (びきょうろこう)。 『鼻竅の露仰なるは、 卒(つい)に外災を被り而かも終には旅舎に終らむ』 「鼻孔の正面より全部見ゆる也、 この人秘密にすることを露骨にし、 尻始末わるく性なしに貧乏し卒に災難つヾきとなり流寓し終るといふ也」
〔髭鬚髯〕 (ひげ)。 髭(くちひげ)、 鬚(あごひげ)、 髯(ほほひげ)。
〔鬚黄睛赤〕 (ひげきいせいあか)。 『鬚黄にして睛赤きは、 終に横灾(おうさい)あるを主どる』 「灾は災に同じ」 鬚が黄色、 金色で、 睛が赤い者は、 終には横死する。 不慮の災難で死ぬだろう。 睛は眼の虹彩の部分。 東洋人は濃茶褐色、 栗色が普通。 睛は目全体を指す場合もある。
〔眉肩〕 (びけん)。 眉尻の上の角(かど)。
〔飛耳〕 (ひじ)。 「耳の引き立ち起き上がれるをいふ」
〔美女背円〕 (びじょのせまるき)。 『美女の背円きは、 必ず秀士に嫁して貴を得む』 「美女であり背中の肉附きよく丸く見えるのは、 必ずよい夫を持ち出世もする、 但し猫背なのは余りよくない」 肩から背中にかけて肉付きが良く温かく見える女。 美女という条件付き。
〔鼻準直齊〕 (びせつちょくせい)。 『鼻準の直齊なるは、 富貴自ら足る』 「鼻の形よくすじのよく通ったものは、 富貴で自ら満足するだけはあらうと也」
〔額〕 (ひたい)。 天庭。 上停。 智。 主として初年の運命の盛衰と、 知識の広さ、 目上の引き立ての有無などを鑑定する。
〔額尖鼻小〕 (ひたいとがりはなしょう)。 『額尖り鼻の小なるは、 側室分居す』 「額が左右から或は上下から相迫り、 前方に又は上方に尖り或はおでこになり、 おまけにその鼻が小型なのは、 側は妾、 室は本妻、 共に相合はず別居するをいふ、 即ち家庭の治まらぬ所以也」
〔額尖耳反〕 (ひたいとがりみみかえる)。 『額尖り耳の反れるは、 三嫁すと雖も而も未だ休まず』 「(額尖るとは)額の中央部突出するオデコ也。 それに反耳なれば、 二度はおろか三度び男をかへてもこれで安心といふことに行くまいと也」 耳の外側を輪(りん)と云い、 ミミタブ垂珠(すいしゅ)、 内の軟骨を郭(かく)と云う。 耳反るとは、 耳の郭(かく)が飛び出て耳が反り返っていること。
〔額偏不平〕 (ひたいへんしてたいらならざる)。 『額の偏して平ならざるは、 内は淫にして外貌は無きが如し』 「額部が左右に偏頗(へんぱ)であり、 或は凸凹あり平等でない女は、 内心は多淫でも外見は何ともない様に見えるものだ」
〔額方而濶〕 (ひたいのほうにしてひろき)。 角額で濶く奇麗なこと。 濶は肉厚で広く傷やホクロなどがないこと。 『額の方にして濶きは、 初年に栄華あり』 二十歳そこそこで早くも出世するということ。 家柄正しく両親睦まじく、 本人も順調に発達するをいう。 『(額の)骨に削偏(さくへん)あれば、 早年に偃蹇あり』 額の骨が平らでなく見苦しいのは、 二十歳頃までは苦労が多い。
〔額方面濶〕 (ひたいほうにしてめんひろき)。 『額方にして面の濶きは、 険なくして吉祥迭(かた)みに至らむ』 「迭は交互の意、 かたみがはり也。 額が方正で面が濶いもの、 面とは顴頬の辺、 そこに肉付き多きものは、 育てるのにさう危険もなく、 吉祥よいことお目出度いことが、 交る替わる相ついで来るといふ」 額が広く奇麗で顴骨から頬にかけて肉付きが良い子供は、 吉祥が多い、 順調に育って運がよい。
〔人小声洪〕 (ひとしょうなりともこえおゝいなる)。 『人となり小なりとも声の洪(おゝ)いなるは、 定めて須らく超越すべし』 「人柄が小さい割に声立ちの大がらなものは、 定めて須(すべか)らく万人をのり超えて豪(えら)いものに成るだらうと也」
〔鼻準〕 (びせつ)。 鼻の先端。 別名は準頭(せっとう)。 『鼻準の尖り垂るゝと、 人中の平満なるとは、 嗣続を刑することこれ逃れ難い』 鼻準が尖って垂れ下るのと、 人中が無い者は、 跡取りに縁が無い運命は逃れられない。 『人中(にんちゅう)』 は鼻の下の縦溝。 別名を溝洫(こういき)とも言う。 子供との縁、 特に跡取りとの縁の良否を見る所。 『人中平満』とは、 人中が平で肉が満ちていること。 つまり人中が無いこと。
〔眉頭〕 (びとう・まゆがしら)。
〔皮膚香膩〕 (ひふにこうじある)。 『皮膚に香膩あるは、 乃ち富室の令娘(れいじょう)たり』 「令娘とは夫人奥さまの意、 俗にいふムスメにはあらず、 皮膚の香ばしく脂ぎってあるものは、 やがては福家の夫人になるだらうと也」 なめらかで香るような感じの皮膚の女は、 金持ちの奥様になる。
〔眉目平直〕 (びもくへいちょく)。 『眉目の平直なるは、 僧格に入るの相、 骨清ければ方に貴たるべし』 「眉も目も水平に真直なものは、 僧としての格に入ったものであるから、 それに骨気が清ければ方(まさ)に貴くなるにきまってる」
〔百三十部位〕 (ひゃくさんじゅうぶい)。
〔媚靨漸生〕 (びようややしょうずる)。 『媚靨漸生ずるは、 月下の期定(きじょう)なり難し』 「媚靨は愛嬌あるエクボ、漸はやや也 少しづゝだんだんに也、 面肉動くに従ってヤンハリとエクボが現出する也。 月下(げっか)は媒酌人のこと、 其の手はまたない待つヒマなどは持ち合わせないと也。 エクボの出るものは尻軽だと也。 「靨はホクロとよむ人あるも非。 (靨の字は)面に厭ふものでエクボなり」 期定は約束、 きまり。 愛嬌あるエクボの持ち主は、 男にモテルし男好きでもある。 新しい男ができて婚約も反故(ほご)するとも解される
〔猫眼〕 (びょうがん)。 猫目(びょうもく・ねこめ)。 『猫目は睛黄にして面閣円なり。 温純なる稟性(ひんせい)、 好んで鮮に飽く。 才ありまた力あり仕使に堪ゆ。 常に高人に得たり一世の怜』 (解説) 「猫目であるものは睛(せい・虹彩)は黄であり、 面閣とは面が額から下閣(かかく・地閣、下顎)まで円々と見ゆる、 即(すなは)ち面構(つらがま)への横ひろがりのこと。 閣の字は新本、 乾隆本ともに濶(かつ)に改めあるもそれは非也、 今古本のまヽに従ふ。 温和純良無邪気な天稟の性格で、 常に生魚飽きるほど食ふことを好くといふ。 また別意として新鮮なる事物、 又た人附合(ひとづきあい)を好むといふを兼ぬる也。 才識材幹また力量があり使ひものに成らうと也。 常に平生高人からの、 高人とは豪人、 位高き人、 生活高き人など、 ソレらの人から哀憐(あいれん・可愛がる)を受くると也。 怜(れい)は憐と同じ」 「(眼)裂は短く、 睛は多く黄、 時に紅又は青を加ふることあり、 眼頭は清々(すがすが)しからず、 眼球少しく凸(とつ)す、 光強し、 睫毛(まつげ)は短かく少しあり。 眼波は殆ど缺(欠)乏」 (備考) 「猫は毛ものの苗(びょう)、 苗民苗族は人間の始め、 進化論では、 今の人間は猫から発生したものだといふ、 動物の苗である猫の字の意味は深遠サがあるやうだ」
〔鼻梁〕 (びりょう)。 鼻筋。
〔眉稜起骨〕 (びりょうのきこつ)。 『眉稜の起骨あるは、 縦ひ寿ありとも孤にして刑あり』 「眉のある位置にムックリとある骨気を眉稜といふ、 眼窩(がんか)の上沿部なり解剖すればその骨あるわけにあらず、 故に骨気と考ふるより外なし、 ある人もあり無き人もあり大小形状程度種々なり。 そのキワダチて高くあるを起骨といふ。 長生すとも弧刑なりとぞ」
〔鼻梁低〕 (びりょうひくい)。 鼻筋が低い、 ベタ鼻。 横顔で判断できる。 『鼻若(も)し梁低ければ、 貧にあらずんば則ち夭せん』 鼻梁が低い者は、 貧乏か若死にかのどちらかである。
〔鼻梁低榻〕 (びりょうていとう)。 『鼻梁の低榻なるは、 当(まさ)に啾喞の災いいを生ずべし』 「鼻梁の低榻は鼻スジが通らぬベタ鼻の形容、 榻は高サの膝にも足らぬ腰掛の寝台などをいふ、 啾喞(しゅうしつ)は秋の虫のシクシクと鳴く声の形容、 臥榻に靠(よ)りて秋の虫声をきくといふ縁語より、 シクシクと泣くような災難がつヾくだらうと也」 靠は、 もたれる 寄りかかる意味。
〔鼻梁露骨〕 (びりょうろこつ)。 『鼻梁の露骨なるは、 名づけて破粗刑家と為す』 「鼻梁露骨は鼻スジの中辺に突兀(とつごつ)として骨気の見ゆるもの、 それを名づけて破粗刑家といふと、 粗業を破り家財を散する人だと也。 家は擬人名としての用字に兼用、 刑剋ある人也の意」
〔貧窮〕 (ひんきゅう)。 貧乏困窮。
〔鬢似毬織〕 (びんのきゅうしょくににる)。 『鬢の毬織に似たるは、 或は先には富ても後には貧なり』 「鬢の毛が今時流行りのウエーブしたかの如きをいひ、 この天然自然の毬織の大波小波に準じ、 他日には必ず貧乏する也。 男は刈り込むので不明だが少し延びると太い毛と細い毛と縮れて延びたる入り交りありて注意すれば分明す」 モミアゲが毬(まり)の糸のようにチヂレているのは、 例え裕福な家に生まれても、 後には貧乏する相。